楽曲ファイルNo.11
音楽処方箋

爽やかな気分こそ健康の原点。
今回は、晩年は難聴に苦しんだドイツの作曲家ベートーヴェンの 交響曲第九番「喜びの歌」をご紹介します。

曲名 交響曲第九番「喜びの歌」           ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
効能効果 完成・自信と勇気を与え、崇高な気分にさせる。
成分  音楽療法の方法で、集団歌唱と言うのがあります。集団歌唱とは普通コーラスと呼ばれています。習熟、完成、「何か」を作りだす喜びを味わいます。交響曲第九番は、合唱付きでありこの曲を聴くだけではなく、歌うことによって得られる成分もあります。
 曲が歌い終わった時の達成感、自分の持ち場の責任などは、「自分にもできる」「もっと生きたい」という気持ちを持ってもらい、決して受動的にならずに前向きに取り組んでいくための効果があります。願望や潜在的才能など、開花されるべきあらゆる可能性を開花させ、やるべきことを最後までやり遂げること、交響曲第九番は啓蒙思想にもとづいて、すべてをおおらかにつつみこむ人道主義的理想を表現しています。
使用上の注意 @ 次の症状の方には効果がありません。
  ・音楽に興味のない方
  ・この曲で嫌な思い出がある
A この曲が聴く人すべてに同じ影響を与えるとは限りません。
B この選曲は音楽療法ではなく、音楽健康法に区別されます。

※ 音楽療法音楽健康法 の違い:音楽療法とは音楽学・心理学・医学の統合的な学問的の上に成立する治療法で、 明確な治療目的をもちます。音楽健康法とは、音楽を聴く・歌う・楽器を演奏すること により気分転換やリフレッシュ効果、やすらぎなどを期待するものです。

エッセイ
 ベートーヴェンは生涯で9曲の交響曲を作曲しています。その中でもこの9番目は色々な意味で有名です。まず、曲の長さが長いということ、普通の交響曲が30分から40分に対し約80分もあるということ、そして、第四楽章に合唱が入っていること、今では珍しくないこの形式もベートーヴェンの時代では交響曲に合唱が入るなんて信じられなかったことであります。
 そして日本では毎年年末になると全国各地で、演奏されていることで有名です。1824年ウィーンのケルントナートア劇場でベートーヴェン指揮で初演されました。この時既に彼は聴力を完全に失っていた為この劇場の管弦楽団の指揮者ウムラウラ が一緒に指揮をするという前未聞のことが起こりました。ベートーヴェンは、曲が終わったにも拘らず一心不乱に指揮を続け、団員に客席の方へ向けさせられ、初めて観客の熱狂の拍手の姿を見ました。